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ハースF1の“持病”タイヤ問題、2024年シーズンで大きく改善も小松代表は「まだ完全には解決できていない」

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ハースF1の“持病”タイヤ問題、2024年シーズンで大きく改善も小松代表は「まだ完全には解決できていない」

 ハースの小松礼雄代表はF1中国GPを振り返り、スプリントでニコ・ヒュルケンベルグのタイヤが“死んだ”ことから、昨年チームが苦しめられたタイヤマネジメントの問題から「完全脱却」できた訳ではないと語った。

 ハースは今年、マシンの持病とも言えるタイヤマネジメントの問題について、かなりの進歩を遂げた。昨年マシンVF-23は予選一発での速さを見せたものの、レースとなると激しいタイヤデグラデーション(性能劣化)を引き起こしてライバルに抜かれるという展開が多々あったのだ。

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 この問題は空力面の根本的なアンバランスさが原因だと考えられた。ハースは持病を解決すべく、2024年シーズン開幕に向けたバーレーンテストで大半の走行時間をロングランに当て、今季マシンVF-24で行なった設計変更とそれがタイヤに及ぼす影響に関するデータを収集した。

 こうした作業が功を奏した。小松代表が開幕戦の頃から「今年は中団争いの中で戦える」と感じていたと語った通り、第2戦サウジアラビアGPではヒュルケンベルグが10位で今季初ポイントをチームに届け、第3戦オーストラリアGPではダブル入賞を果たした。

 直近の第5戦中国GPはスプリントフォーマットでの開催となり、ヒュルケンベルグはスプリント予選で13番手を獲得。ただスプリントでは中団争いの中で激しいデグラデーションに見舞われて、最下位に転落となった。

 これはセットアップ面で“間違った方向”に舵を切ってしまったことが関係しており、マシンに調整を加えて臨んだ本戦でヒュルケンベルグは10位入賞を果たした。

 アップダウンの激しい週末となった中国GPを振り返り、小松代表は依然としてハースがタイヤマネジメントの問題に陥るリスクが十分に存在しているということが浮き彫りになったと説明した。

 これまでのタイヤマネジメントの問題を完璧に解決できたと感じているか? それともスプリントでのヒュルケンベルグはチームの意表を突くモノだったのか? と尋ねられた小松代表は次のように答えた。

「解決したとは言いませんよ。例えば、我々は(中国GPで)ある程度のこと(デグラデーション)を予想していましたが、(予想とは)異なることを体験しました」

「ニコのスプリントを見れば分かるように、タイヤの問題だけでなく、いくつかの複合的な要因の結果です。ただ我々はニコのタイヤを殺してしまいました」

「だから100%完全に克服したとはまだ言えません。このサーキット、この気温、そしてこのコンパウンドによって、新たな領域が露呈したと思います」

「でもそこに集中したからこそ、克服するために改善できることがあると思います」

「またここへ来た時には、現時点ではまだ手にしていない、少し異なるセッティングを思いつくはずです」

「ケビン(マグヌッセン)のレースを見てみると、(スプリントでは)堅実なレースをして10位でフィニッシュしました。ただ彼のペースは良くありませんでした」

「ニコの後退はひとつの要因によるモノではなく、複合的なモノです。しかしどれだけ繊細かが見て取れると思います」

「ある状況やシナリオに陥った時、タイヤを良い状態に保つためのマージンがなければ、そういうことが起こり得るんです」

「それを教訓に、マシン、セットアップ、ドライビングの全てにもう少しマージンをもたせる必要があります。そうすれば、ある状況に陥ってもタイヤが死んでしまうことはありませんし、全く戦えないということはありません」

 さらに小松代表は、ヒュルケンベルグが言っていたような「マシンを悪化させる」セットアップ調整ではなく、チームがロングランでタイヤに良いと分かっていたセットアップに戻すことで「このレース(決勝)に向けて正しい状態に修正できたのは良かった」と付け加え、次のように締めくくった。

「ニコの(決勝での)ペースは驚くほどではありませんでしたが、それでも(入賞できたのは)かなり良いことです」

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